「地に落ちた信頼 ボーイング737MAX墜落事故」
(原題:Downfall: The Case Against Boeing(2022))
監督:ロリー・ケネディ
製作:ケビン・マカレスター、サラ・バーンスタイン、
ジャスティン・ウィルクス、マーク・ベイリー、
ロリー・ケネディ
製作総指揮:ブライアン・グレイザー、ロン・ハワード
脚本:マーク・ベイリー、ケビン・マカレスター
撮影:グレアム・ウィロビー
音楽:ゲイリー・リオネッリ
2018年10月、
ライオン航空610便が
首都ジャカルタの空港を離陸直後操縦不能に。
2人のパイロットは言うことを聞かない機体と
最後まで格闘し、
急降下と急上昇を20回以上も繰り返した末、
ジャワ海に墜落。189人の命が奪われていた。
2019年3月、
快晴のアディスアベバ・ボレ国際空港を
157人を乗せたET302便が離陸。
前年に製造され就航からわずか4カ月。
ボーイング社の新しい小型旅客機「737MAX」は
離陸後すぐに操縦不能に陥った。
失速を防ぐために機首の上がりすぎを抑え込む
飛行制御システムが誤動作。
機体の傾きをはかるセンサーの不具合で、
実際よりも機首が上がっているとする誤ったデータが
システムに送られていた。
何が起きているのか知りようもない操縦者達は、
機体のコントロールを取り戻そうと必死にあらがった。
だが、そのシステムは何度も起動しては尾翼を動かし、
機首を地面へと引きずり下ろそうとした。
ET302便は自らのシステムに乗っ取られていた。
機体は上下に激しく揺さぶられながら
急速に高度を下げていく。
最終的にET302便は時速1000キロに迫る猛スピードで、
アディスアベバ近郊の農地に突っ込んでいった。
これ、実話です。
このニュースは私の記憶にはありませんでした。
当時は日本でも大きなニュースに
なっていたかもしれませんが、
日本の航空会社は737MAXを導入していないので、
それ程大きなニュースにならなかったのか、
単純に私が見落としていたかは定かではありません。
音楽に目覚める前までは
何となくパイロットに憧れていました。
なので航空機にも関心がありました。
数年前に国内では引退してしまった
ジャンボ(747)や737、767、777、
かなり昔ですが727にも搭乗した事があります。
ボーイング社ってエンジニア主導の会社という
イメージがあったんですが、
1990年代後半にマクドネルダグラス社を買収してから、
その経営方針は大きく一新され、
社員全体に株価を認識させ、
株価の上昇こそが第一という方向に
会社が変わってしまったようです。
つまりは、ファイナンス中心に物事が決められ、
社員は減らされ生産コストを下げる方向で物事が
すすめられていきました。
エンジニアや現場の声が、
物事の決定をする場所から遠く離され、
ボーイングは技術と品質の会社から、
大きく変貌をとげることになったのです。
そう言えば・・・2013年にも
ボーイング787でバッテリーに起因する
電気系統の問題がありましたねぇ。
駐機中のJAL機と飛行中のANA機で
バッテリーからの出火事故が発生した事故。
この辺から金儲け主義に走った
結果としての綻びが出始めていたのかもしれません。
大変興味深い作品でした。
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