『EXAM』(2009年)
製作・監督・脚本:スチュアート・ヘイゼルダイン
出演:ルーク・マブリー、ジェンマ・チャン、
ジョン・ロイド・フィリンガム、ジミ・ミストリー、
ナタリー・コックス、ポリアンナ・マッキントッシュ、
アダル・ベック、チュク・イウジ、コリン・サーモン
「採用者は生涯毎年1億円の報酬を約束する」
という条件を提示したある企業の就職試験の
最終選考に8人の男女が残った。
試験会場には窓も無く、拳銃を持った警備員が
出入り口に立っているだけだった。
やがて試験監督の男が説明を始める。
『質問は一つだけ。制限時間内に答えること。
ただし、以下3つのルールを守ること。
1.試験監督及び警備員と会話を交わしてはならない。
2.試験用紙を如何なる理由であれ破損してはならない。
3.いかなる理由があろうと試験会場から退出してはならない。
以上を破った場合にはその場で失格。
何か質問は?では始め。』
制限時間80分を刻むタイマーのカウントが始まる。
受験者たちは早速とりかかろうと試験用紙をめくるのだが、
それはまっさらな白紙だった。
出演者を割と沢山記入していますが、
恐らくこれが”全出演者”だと思います。
また、セットもほぼ”試験会場”のみです。
そう、所謂「ワンシチュエーションドラマ」です。
『CUBE』とか『十二人の怒れる男』とか
日本でも『キサラギ』とか、
結構色んなジャンルの作品がありますよね?
低予算で作れる反面、作品のキモは
役者の技量と脚本・演出により集約されます。
この3つが大事なのはどんな作品でも同じなのですが、
”SF大作”なんかだとCGで誤摩化される事も
しばしばですから(『トランスフォーマー』とかねw)。
実は、ここまで文章の中に”白紙の試験問題の謎”を解く
”ヒント”が隠されています。・・・気になります?w
☆3つ半
『オーケストラ!』(Le Concert)(2010年)
監督・脚本:ラデュ・ミヘイレアニュ
出演:アレクセイ・グシュコブ、メラニー・ロラン、
ミュウ=ミュウ
ロシアで劇場清掃員として働くアンドレイは、
かつては天才指揮者として知られていたが、
共産主義政府によるユダヤ人排斥政策によって
楽団を追われた過去を持っていた。
そんな彼はある日、
パリの劇場がキャンセルした楽団の代わりとなる
オーケストラを探しているという情報を得る。
音楽界復帰のチャンスと思った彼は
かつての仲間達を集め始める。
原題が「コンサート」で邦題が『オーケストラ!』
・・・ややこしいですwww。
コメーディータッチのドタバタか?と思いきや
いやいやどーして、そう単純なお話ではありません。
まあ、途中若干とっ散らかってる部分もありますし、
”違った意味”で「大丈夫?」ってとこもありますが…。
それと、あくまでコチラ側の問題なのですが、
旧ソ連の共産主義体制やユダヤ人迫害など、
当時のヨーロッパの事情がもう少し分かっていたら
より深く内容や描写を理解出来たかもしれません。
それにしても、ラスト12分間のチャイコフスキーの
ヴァイオリン・コンチェルトの演奏シーンは圧巻です。
観る者の心を揺さぶる”音楽”の感動。
そして、そこに流れる映像が、
なぜ指揮者アンドレイがヴァイオリン・ソリストに
アンヌ=マリーを選んだかなど彼女の
出生を解き明かにしていきます。
謎が解かれていく過程でアンヌ=マリーの演奏は
まるで彼女の呪いが解かれたように
美しく昇華されていくのです。
最後の演奏シーンだけ何度も見返して泣いちゃったw。
う〜ん、、、おまけで!
☆4つ
『告白』(2010年)
原作:湊かなえ、監督・脚本:中島哲也
出演:松たか子、木村佳乃、岡田将生、
芦田愛菜、山口馬木也、高橋努
市立S中学校、1年B組。3学期の終業式の日、
担任・森口悠子は生徒たちに間もなく自分が
教師を辞めることを告げる。
原因は“あのこと”かと生徒から質問が飛ぶ。
数カ月前、学校のプールで彼女の一人娘が死んだのだ。
森口は娘は事故死と判断されたが
本当はこのクラスの生徒2人に殺されたのだと、
犯人である少年「A」と「B」を
告発し警察に言うつもりはないが
彼らには既に恐ろしい復讐を仕掛けたと宣告して去っていく。
先日、ブルーリボン賞で木村佳乃さんが助演女優賞を、
そして日本アカデミー賞では作品賞や監督賞など
計4部門で最優秀賞を受賞しました。おめでとう御座います!
劇場公開時、映画館に観に行った友人はTwitterで
「くそむなくそ悪い映画」と賞しておりました、が、
「観るんじゃなかった」とは言ってなかった。
作品を観終えた私も、人に説明する際に
「いや〜、これが酷い話でさぁ・・・」という
枕詞(?)をついつい言ってしまうのですが、
結論から言うと、私、この作品大好きです。
何度も見返したい訳ではないのですが・・・、
何だろう、「内容」は兎も角、映画として
とても”ちゃんとしている”と思うのです。
一部、映画評論家の方々からは、
「“ストーリーに奉仕するせりふ”は映画的ではない」
との批判もありますし、
内容に関して嫌悪感を抱く人もいるでしょう。
でも、一つの”作品”としてテンポ良く進んで行くし、
瞬間瞬間を切り取ればどれも共感出来てしまえる事実を
突きつけられる感じが私は好きでした。
☆5つ
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